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地球温暖化と熱帯低気圧

熱帯低気圧に伴う強風や豪雨や高潮は、時に甚大な被害をもたらします。被害の中でも、死者数は劇的に減少しましたが、インフレの影響などを割り引いたとしても被害額は増加する傾向にあります。
2005年にアメリカのニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーナによる被害額は、自然災害による被害としては史上最高額を記録しました。カトリーナは非常に強いハリケーンでしたが、観測史上で最も強い熱帯低気圧ではありません。熱帯低気圧による被害は、その強さや経路や上陸数といった気象的要素、被害を受けた地域の経済的・社会的要素などに大きく影響されます。
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■地球温暖化は熱帯低気圧の強さに影響する

熱帯低気圧とは、熱帯の暖かい海洋の上で発生する低気圧です。その中でも最大風速がある基準を超えた強い熱帯低気圧は、西部北太平洋では台風、東部北太平洋や大西洋ではハリケーン、インド洋や南太平洋ではサイクロンと呼ばれています(注1)。呼称は違っても、熱帯低気圧を駆動するエネルギーは、大気中の水蒸気が強い上昇気流で上空に持ち上げられて凝結して液体の水になる際に発生する熱です。
地球温暖化が進めば、海洋からの蒸発は盛んになり、より大量の水蒸気が大気中に蓄えられます。ひとたび熱帯低気圧が発生すれば、より多くの水蒸気が大気中にある場合、より強い熱帯低気圧に発達しやすくなります。最新の多くの研究では、およそ100年後の温暖化が進んだ世界では、強い熱帯低気圧の発生数が現在より増加するという結果が得られています。
熱帯低気圧の経路や中心気圧などの観測記録が整備されているのは、北太平洋や北大西洋などではおよそ1950年代以降、他の海域でも1970年代の人工衛星による全地球的な観測体制が整備されて以降です。この観測記録によると、海域ごとの熱帯低気圧の発生数は、数年から数十年周期の変動(例えばエルニーニョなど)に影響されて増減を繰り返しています。大気中のCO2濃度の増加に連れて熱帯低気圧の発生数が増加または減少するといった、一貫した変化傾向は見出されていません。
一方、熱帯低気圧の最大風速などを指標として強さ別に発生数を調べてみると、強い熱帯低気圧の発生数が近年増加傾向にあるという研究結果が報告されています。2007年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書によると、北大西洋では1970年頃から、海水温度の上昇に伴って、強い熱帯低気圧が増加している可能性が高いと報告されています。他の海域でも、観測データの精度や一貫性の問題のために北大西洋ほど明確とはいえないものの、同様の増加傾向が示唆されています。そして、観測された強い熱帯低気圧の増加傾向は、どちらかといえば人間活動の寄与の可能性があるとまとめられています。


■地球温暖化が熱帯低気圧に与える影響評価の難しさ

人工衛星などで見る熱帯低気圧は巨大に見えますが、他の気象現象と比較すると、熱帯低気圧は狭い領域で非常に激しい風雨などをもたらす現象です。このため、地球温暖化に伴う熱帯低気圧活動の変化を計算機シミュレーションの手法で詳細に調べるには、現在の計算機資源では十分ではありません。現状では、たとえば、地球温暖化に伴って強い熱帯低気圧が増えることは定性的には確からしいのですが、どの程度増えるのか、どの程度の強さまで発達しうるのかといった定量的な議論に足るシミュレーションにはなっていないのです。
映画「不都合な真実」でも述べられている通り、2004年にはこれまで熱帯低気圧は発生しないとされていた南大西洋で史上初のハリケーンが発生し、2005年の北大西洋でのハリケーン発生数は27個と史上最高を記録しました。また、2004年には日本では史上最高の年間10個の台風が上陸しましたが、この年の西部北太平洋の台風の発生数は実はほぼ平年並でした。いくつかの最新の研究成果では、およそ100年後の熱帯低気圧全体の発生数は減少するといわれていますが、海域別の熱帯低気圧の発生数の将来の変化については、確信を持っていえるだけの知見が揃っていないというのが実情です。
熱帯低気圧の発生数だけでなく、経路や上陸する数と位置がどう変化するのか、人々が暮らす陸地に影響を及ぼす領域でどの程度の強さになるのかといった被害に直接関係する研究も十分ではありません。地球温暖化に伴う熱帯低気圧の活動の変化についてより確かな知見を蓄積し、影響の予測に役立てていくことが必要です。


■熱帯低気圧による被害を抑えるために

地球温暖化に伴って強い熱帯低気圧が増えると、激しい風雨による被害が増加することは容易に想像されます。温暖化が進むと、海水面が上昇(「海面上昇とゼロメートル地帯」参照)するので、沿岸地域では熱帯低気圧に伴う高潮の被害を受けやすくなることも想定されます。地球温暖化を抑制することは、このような被害を減少させると考えられます。
しかし先に述べた通り、このような被害は熱帯低気圧の強さや経路といった気象的要素だけでなく、社会的・経済的な要素の影響も大きく受けます。たとえばカトリーナの場合、堤防の決壊を防ぐことができたら、上陸前から避難勧告があったにもかかわらず貧困や高齢のために移動することができなかった人たちを避難させる手段が整備されていたら、被災地や避難先そして政府の対応がより適切であったなら、被害に遭う人数も被害額も軽減できたと考えられています。
実際カトリーナ以前から、河川や海岸の付近といった水害に遭いやすい地域への人口や資産の流入が、近年の熱帯低気圧による被害の増加の要因であるとする研究がありました。そのような地域を生活の基盤とするのを望むかどうか、長所と短所を見極めて判断し、そこで生活する場合は防災や避難の対策を十分に行うことが肝要です。日本にとって台風は水資源の重要な供給源ではありますが、時期によっては梅雨前線や秋雨前線と連携して大雨をもたらすなど非常に予測が難しい危険な気象現象です。地球温暖化を抑えて将来の熱帯低気圧による被害を抑制していくとともに、「備えあれば憂いなし」といわれるように、普段からの災害対策で被害を減少させる努力も必要なのではないでしょうか。



(注1) 日本では西部北太平洋で10分間平均の最大風速が34ノット(約17m/秒)以上の熱帯低気圧を台風と呼びますが、アメリカでは1分間平均の最大風速が64ノット(約33m/秒)以上の熱帯低気圧を海域別にタイフーンやハリケーンなどと呼びます。



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【異常気象を追う 吉野正敏】
 

■台風の襲来は異常気象か

 日本の気候を特徴づける3本柱は、冬の季節風、6・7月の梅雨、そして台風である。その他にも、春一番とか、木枯らしとかあるが、これらは日本全体からみれば、地域的にも日数からみても、影響を及ぼす範囲が限られている。
 毎年、台風は日本のはるか南方の熱帯太平洋上で何個か発生し、その一部が日本にむかってやってくる。その中の幾つかは日本に上陸する。。。。。とすれば、台風がくること自体は異常気象とはいえないだろう。あとで詳しく述べるが、日本に上陸する台風が0の年が最近よく現れる。むしろ、この方が異常である。もちろん、2004年のように、過去には経験しなかったような、年間で10個も襲来するのも異常であることは言うまでもない。
 台風の襲来について、古くから日本では公式文書にも、個人の日記にも、小説の中にも記録されている。源氏物語の「野分け」以来、小説や詩歌の題材になり、日本文化に深く入り込んでいるのが台風である。
 カスリン台風・伊勢湾台風。。。。など数えきれないほどの大災害が人口密度の高い都市部や沿岸各地を直撃した台風によって起こった。また、台風はまだはるか南方洋上にあっても、すでに本州上にある前線が、台風にともなう南からの湿った空気のながれで活発化し、しかも、長時間、場合によっては数日もこの前線が停滞して本州上にあると、そこには多量の雨が降る。川は増水し、水害の危険が増える。このようなときには、大きな災害となる。これは、まさに異常気象そのものである。要するに個々の台風によって、状況が非常に異なる。それに付随して起きる気象状態・災害の内容・程度が大きく異なるのである。異常に大きな災害をもたらすこともあれば、大きな被害がなく、事なきをえる場合もある。南西諸島では、干ばつで困っているとき、一個の台風がやってきて雨をもたらし、畑の作物が生き返ることもある。台風の恩恵ともいえる状況もまれには起きるのである。これが3本柱の一つ、台風の特質である。



■台風発生数の最近の変化

 「地球温暖化により熱帯低気圧の発生数は減少する。しかし、非常に強い熱帯低気圧の発生数は増加する。」ということは、数値モデルによる研究によってほぼ認められているが、後で述べるように、世界気象機関(WMO)の専門家の会議では、こう言い切るにはまだ問題があるとしている。熱帯低気圧の中には、太平洋の台風ばかりでなく、大西洋のハリケーン、インド洋のサイクロンなどあり、それぞれ最近の傾向には差があるかも知れない。
 

 台風シーズンと一口に言っても、8月だけは傾向が別である。7月、9月、10月は21世紀には、平年値と比較して値は小さい。9月+10月の値は平年値が9.0に対し、21世紀は7.3で減少していることが読み取れる。
 8月だけが傾向は違い、増加している。これについては、もう少し詳しい検討が必要だが、8月は台風発生の極大期で強い台風が多い。したがって、数値モデルによる研究で強い台風の発生数は増えるという計算結果と同じ傾向を示しているという解釈もできよう。なお、以上の議論では1961-1970年の統計をほとんど考慮していない。20世紀の終わりの20-30年、21世紀の7年を比較している。表題の“最近”の定義にも関係するが、今後の詳しい研究にまつところが多い。

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■発生数や上陸数の増加や減少は温暖化の影響か?

 2004年には日本に10個の台風が上陸した。それ以前は最多でも6個で1990年と1993年にその記録があるだけである。日本では、地球温暖化の影響かとさわがれた。この頃はなにか異変があると地球温暖化の影響とむすびつける風潮があるのも困ったことである。確かに、その後、2005年にはクック諸島で5週間に5個の熱帯低気圧に襲われた。2004年と2005年には大西洋のハリケーンの活動は、このエッセイでもとりあげたカトリーナの場合を含めて、非常に激しかった。2006年には中国で台風“サオマイ”が、またオーストラリアではサイクロン“ラリー”が猛威を振るった。これだけ例が集まると温暖化の影響と言いたくなる。そこで、先にも触れたが、2006年11月、世界気象機関(WMO)が「このような熱帯低気圧の活動は地球温暖化と関連あるとみてよいかどうか」を検討する会議を開いた。その結果の要点をここに紹介したい。現在の段階で、もっとも信頼にたる、穏健な、科学的な見解と思う。
最近、海水面温度の上昇に伴って熱帯低気圧のエネルギー・数・風速が強くまたは大きくなってきているという報告がある。しかし、一方では、これは観測技術の進歩や測器の開発によるという報告もある。
全体としての傾向はともかく、個々の熱帯低気圧の発生・動き・発達に温暖化の直接の影響を求めることは不可能である。
最近の熱帯低気圧の活動が人間社会に及ぼす影響が強大になってきているのは、海岸地帯に人口があつまりインフラが集中してきたからである。
最近の20-30年間の風速のモニタリングによると、風速の長期変化傾向は見出せない。
熱帯低気圧の数や活動に長期(十年から数十年)の変動・変化の傾向はあるが、その原因は自然なのか、人間活動によるのか、その両方によるのか、わからない。
最近、数値モデルシミュレーションにより温暖化したとき熱帯低気圧の数が減少するとか、変化しないとかいう結果がでているが、まだ、信頼にたるものではない。また、局地性が大きく、地域差がある。
もし温暖化した場合海面上昇が起こるならば、海岸の低地の浸水に対する脆弱性は間違いなく増加する。
 以上が要点である。したがって、このエッセイの初めに述べた発生数や上陸数は、強弱に関係なしに個数を数えた結果であり、一つ一つの台風、あるいはある年の異常な個数発生の原因を調べたものでないことなどを注意したい。また台風についての話であって、熱帯低気圧全部の話ではない。そして、最近の20-30年あるいは1971-2000年の平年値と、21世紀の数年との比較であることを留意したい。このような観測結果の分析を積み上げて、事実を少しでも解明してゆくことが重要である。


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