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なぜ今期予想業績を公表しないのか

日本企業は、前期の業績を発表した時点で、今期の業績予想についても具体的な数字を発表しています。
私達はそれが当然のことと考えています。
ところが、米国企業は、前期の業績は公表するものの、今期業績予想については具体的な数字を公表することがありません。



実際の業績数字が、予想された数字と大きくかけ離れて株価が大きく値下がりすると、業績予想数字を信用して株価を買った投資家から、損害賠償の訴訟を起こされる可能性があるため、企業は今期予想数字を発表しないのだと言われています。

しかし、今期業績がどの程度になるのか分からなければ、投資する上で有力な判断材料となる今期予想PER(株価収益率)を計算することができず、投資家としてもその会社の株に投資していいのかどうか、判断するのは困難です。

そこで、証券会社に所属する証券アナリストが、企業や業界を取材し、今期業績予想の具体的な数字を証券アナリストの個人的(あるいは証券会社の)見解として公表し、企業が公表しない情報をカバーしているのです。
 ある企業の今期業績がどうなるかの予想は、それぞれの証券アナリストによって異なります。このため、同じ企業でも複数の今期業績予想が存在することになるのです。

しかし、それでは投資家は判断に迷うに違いありません。
上場企業の今期業績予想は、投資家が株式の売買を判断する上で、最も重要な情報の1つです。できるだけ正確な情報が必要です。

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 企業のことを一番よく知っているのは、その企業内部関係者(特に経営陣)です。証券アナリストは、そうした企業内部の関係者に取材して、今期予想数字を発表するのでしょうが、企業内部の者が好悪材料のすべてを教えてくれることを期待するのは困難です。
ましてや証券アナリストが所属する証券会社と、取材先の上場会社との間に取引関係があれば、厳しい予想数字を発表することが難しくなります。
そういう意味では、上場企業の今期業績予想は、証券アナリストではなく、日本のように上場企業が行うのが一番理にかなっている、と言えるでしょう。

 上場企業は、今期業績予想を発表して、実際の業績がそれとは大きく異なると、それによって損失が発生した投資家から、損害賠償請求の訴訟を起こされると警戒しているようです。
しかし、予想が外れて損害賠償請求の裁判を起こされるのは証券アナリスト、証券会社も同じことです。

上場企業のことは、その企業の内部の者(特に経営者)が最もよく知っています。
証券アナリストは複数の企業を担当しており、ひとりで何社もの業績を予想しなければなりません。ましてや上場企業の全面的な協力がなければ、正確な今期業績予想を行うことは不可能です。さらに力関係からいっても、証券会社は得意先である上場企業より、立場が弱いという傾向があります。

 となれば、証券アナリストに、上場企業に代わって今期業績予想を発表させるのは、あまりにも酷な話です。

証券アナリストは所属する証券会社とその取引先である上場会社、そして投資家という3者の間で板挟みになりがちです。
投資家には正確な情報を伝えなければなりません。所属する証券会社に対しては、少しでも営業面にプラスになるようなレポートを作成しなければなりません。得意先である上場企業の機嫌を損ねて、取引を停止されたら困ります。
このような板挟みの中で、自分が所属する証券会社を優先し、そのためには得意先である上場企業の機嫌を損ねることもできず、一番後回しになるのが投資家、ということになりがちです。

そのことが典型的な形で表面化したのは、ITバブルが崩壊した直後の2001年です。利益の出る見込みのない銘柄を買い推奨したり、投資評価を甘くしたりした証券会社や証券アナリストを相手に、投資家が集団訴訟を起こすケースが米国で多発したことがありました。

 これは世界的な傾向ですが、有力な証券会社は、顧客企業との関係が悪化することを恐れて、株式の売り推奨をためらい、買い推奨に傾く傾向があります。買い推奨する際には、今期業績予想や投資評価が甘くなりがちです。

もちろん、「株価が上がるは七難隠す」という相場格言があるように、株価が上昇し続けていれば、投資家に損失は発生しないため、訴訟に発展することもありません。
しかし、株価の上昇(あるいはバブル)が永遠に続くことはあり得ないことです。

 ITバブル崩壊後に、米国で集団訴訟が相次いだのはそのためでした。

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は証券会社のレポートについて、次のような皮肉な名言を残しています。

 「証券会社のレポートは読みません。床屋に行って、『散髪した方がいいかな』と聞くようなものです」

 このことは米国でも日本でも通用するようです。



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