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年金基金の病巣

浅川和彦社長ら関係者4人の逮捕に発展したAIJ投資顧問による年金消失問題は、浅川容疑者という「特異な人物」による巨額な詐欺事件にとどまらず、先送りされてきた「年金運用の病巣」をえぐり出す契機となったという点で、時代を象徴している。
「だますつもりはなかった」。浅川容疑者は国会の参考人・証人喚問を通じて一貫して詐欺の意図がなかったと繰り返した。しかし、「わが社なら安定的に8%で運用できますよ」と言葉巧みに中小企業の年金基金を勧誘しながら、実際は、外国籍投信を通じたハイリスクのデリバティブ取引を繰り返し、損失を膨らませていった。2009年春には実質経営破綻の状態で、集めた資金を解約の払戻金に流用する自転車操業に陥っていたことが明らかになっている。

 AIJ事件そのものは一つの節目を迎えたが、影響は年金基金制度そのもののあり方にも及んでいる。

 民主党のAIJ問題検証ワーキングチーム(WT)が4月24日にまとめた中間報告では、厚生年金基金の損失を公的年金で補填(ほてん)することはしない旨が明記されたほか、現在は事業主と加入者の4分の3以上の同意が必要な厚生年金の解散基準を「大幅に緩和する」こと、そして、現行の厚生年金基金制度は「一定の期間終了後に廃止する」という極めて厳しい内容が盛り込まれた。

景気の低迷による企業収益の減少や運用環境の悪化により、厚生年金基金が国の公的年金に代わって運用する「代行部分」は、約4割で損失が発生している。この代行部分の積立不足は、AIJへの委託資産がすべて消えれば、7000億円超になると試算されている。「厚生年金基金には(1)解散する(2)代行資金を返済した上で確定拠出型年金ないし確定給付型年金に移行する-かを選択させるべきだ」と民主党WTは判断した。

 一方、この民主党WTと並行して、厚生労働省の有識者会議も進められ、6月29日の第8回会合で報告書(案)がまとめられた。最大の焦点である「代行割れ」への対応では「代行部分の債務である最低責任準備金の計算方法の見直し(減額)」や「分割納付に際してのいわゆる『連帯返済制度』については廃止することとし、現行法制下では国と基金の債権・債務関係となっている仕組みを、国と各事業所との債権・債務関係に見直す」などの案が出されている。また、民主党WTで打ち出された「厚生年金基金の廃止」は見送られ、「代行制度」は温存される方向にある。

 だが、公的年金の一部を基金という国以外の者が管理・運用する「代行制度」は、世界的に例を見ないわが国特有のもの。保有資産が最低責任準備金を下回る「代行割れ基金」が多数存在する中、はたして制度の維持は可能なのだろうか。現実を直視した抜本的な改革が望まれる。




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